生垣には減臭の効果も!畜産農場に適した植物と植え方のポイントとは

生垣には減臭の効果も!畜産農場に適した植物と植え方のポイントとは

農場の臭い対策にはさまざまな方法がありますが、農場を生垣で囲うことでも減臭効果が期待できます。特定の施設から発生する臭いばかりに注目しがちですが、生垣は農場全体の臭い対策にも効果を発揮します。また臭いに対する効果だけではなく、心理面や経済面も含めた問題解決に役立ちます。

この記事では生垣が持つさまざまな効果と、生垣を最大限に活用するために必要な植樹のポイントや、植物の種類・特性についてご紹介します。

農場における生垣の効果

農場における生垣の効果は、物理的なものと心理的なものに分けることができます。物理的な効果には臭いの除去・粉塵の除去・騒音の防止などがあります。心理的な効果は自然や緑に対するイメージの良さ・やすらぎ・空間の分割などです。
 (649)

花の香りで臭いを覆う&花による心理効果も

 (650)

生垣は臭い成分を吸収してくれるだけでなく、植物によってはいい香りの花を咲かせることで農場の臭いをカバーしてくれます。

例えば早春から春にかけてはジンチョウゲやツツジ、夏の間はクチナシ、秋にはキンモクセイ、晩秋から冬にかけてはサザンカ、冬の間にはロウバイなどがあります。美しい花が咲くことで、周囲からの印象をよくしてくれます。

空気・粉塵対策にも

生垣の持つ物理的な効果として、農場から発生した臭気と粉塵の対策ができるという点があります。農場の臭気は空気によって拡散する場合と粉塵に付着した臭気が気流に乗って拡散する場合があります。生垣があることで臭気を含む空気や粉塵が直接農場の外に漏れ出ることなく、一度農場内に溜まります。

この過程で植物による臭い成分の吸収が効率よく行われ、生垣がフィルターのような役割を果たし、粉塵が外に出ずに留まります。生垣の高さまで空気が溜まると、生垣の上部を超えた空気が農場の外に流れていき、臭いは希釈されながら周辺に拡散されます。このことを煙突効果と言います。そのほか、生垣が壁になることで、騒音を減らす効果が期待できます。

生垣の持つ心理的な効果

農場で減臭を行っても、完全にゼロにすることは難しいです。動物を飼育する以上、糞尿・堆肥・飼料やそれらに集まる生物の発生を避けることができないからです。生垣の緑が持つ清涼感や清潔感、やすらぎが、周りの人の農場へのイメージをやわらげてくれます

生垣に適した植物の種類

生垣に適した植物の種類を着目したいポイントとともにお伝えします。
 (651)

臭いを吸着する植物

農場の臭いとして代表的なアンモニアを吸収する植物には、ツゲ、ニオイヒバ、チャバヒバ、サンゴジュがあります。ツゲは日中に、サンゴジュは夜間や夜明け・日没時にアンモニアを吸収してくれます。

農場における臭いが最も多く発生する時間は夜明けと日没のタイミングだと言われています。大気の対流が弱まり、風が止まります。この間に臭いは拡散されず濃縮されていくため、風が吹き始めた時に濃縮された臭いが一気に広がり強い臭いを放ちます。生垣は臭いを物理的に閉じ込める効果があると述べましたが、濃縮された臭いに対しても同じように働きます。夜明けや日没にさかんにアンモニアの吸収を行う植物を生垣に利用することで減臭効果を高めることができます。
 (652)

土地柄による植物の違い

植物は土地柄によっても特色があります。例えば、養豚が盛んな沖縄地方ではケラマツツジ、ブッソウゲ(ハイビスカス)、クロトンがアンモニアの吸収能力が高く、生垣に適した植物です。

丈夫な植物

臭いの吸着能力に優れた植物でも、糞尿臭や大気汚染に弱くて枯れてしまっては意味がありません。ニオイヒバ、チャゴヒバ、サンゴジュ、イチイは糞尿臭が付着しても枯れにくいため、生垣に適しています。

成長速度の速い植物

ニオイヒバ、チャゴヒバなど成長速度の速い植物を生垣に利用すると、早くから生垣の効果を発揮させることができます。

生垣を作るポイント

生垣に必要な要素は「植生構成」と「植生密度」から成り立っています。

植生構成

よい植生構成とは、さまざまな種類、特性を持つ植物をバランスよく組み合わせることです。植物には落葉樹と常緑樹、高中低の樹の高さ、日陰に強い性質があるかないかなどの特性があります。一般的な生垣は、落葉広葉樹と常緑広葉樹を高木層として組み合わせ、中低木層として耐陰性の高い常緑広葉樹を選びます。常緑樹を多く組み込むことで冬季の効果が期待できます。また、地域の在来種を多く利用することで、季節変化による生垣のダメージを最低限にできるだけではなく、周りの景色との統一感が生まれます。

植生密度

生垣は、農場の臭いを含んだ空気や粉塵が流入しやすい低密度にするのがおすすめです。耐陰性の高い植物であってもある程度の日照を必要とするため、日照の確保という点でもメリットがあります。

生垣を設置して減臭&周囲からのイメージアップ

生垣は物理的な減臭効果があるだけでなく、緑や花により、心理的な面でも周りによい印象を持ってもらえる一石二鳥な減臭対策です。農場の臭い対策や近隣住民へのイメージアップを検討している方は、ぜひ取り入れてみてください。
 (654)

 (655)

※2021年3月4日追記※ 生垣を作るうえでの注意点

植物の中には毒をもっているものもあり、過去には植物中毒で家畜が死亡した事例などもあります。
上記に記載されているイチイやアセビは強度の植物毒を有する樹木です。
牛が食べてしまったことで中毒を起こした事例が数多く報告されています。
(参考 農研機構Webページ:http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/plants/yew.html

消臭対策として新たに生垣を作られる際は、有毒植物でないことを事前に確認し、混植されないようご注意ください。
既に有毒植物を含む生垣を家畜の近くに設置している場合は、誤って枝葉を投与しないよう処理をするようにしてください。また、家畜が逃走して生垣の植物の枝葉を食べる可能性もあることから、有毒植物を少しづつ植え替え、最終的には除去するよることが望ましいです。
 (891)