見直してみよう!動物用医薬品の保管のポイント

見直してみよう!動物用医薬品の保管のポイント

動物用医薬品の効果を確実に発揮させるためには、
正しい保管と投与方法を守ることが前提です。
この記事では、動物用医薬品の保管について確認したいと思います。
なお、貯法や取扱い上の注意事項は製品によって異なりますので、
詳しくは各製品の添付文書をご確認ください。

保管温度を守る

動物用医薬品は、温度や光、湿度などの影響によって効果が低減する場合があります。
動物用医薬品の添付文書には「貯法」といって、未開封時の保管の条件が記載されています。
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温度については、具体的な温度(2~5℃や2~10℃など)が書かれている場合もありますし、
「室温保存」や「冷所保存」と書かれている場合もあります。
室温や常温は、下記(表)のように日本薬局方に定義づけされています。
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まずは、添付文書の貯法を読み、決められた温度で保管できているか確認しましょう。

次に、冷所保存や2~5℃などで保管と決められている場合で、冷蔵庫で保管していても、
設定がうまくいかず庫内の温度が下がりすぎて薬が凍結してしまったり、
物を入れすぎて温度が上がってしまったりすることもあります。
外気温の影響や、冷蔵庫の扉付近と冷気の吹き出し口付近では、温度差があることも考えられます。
そういったトラブルを防ぐためには、庫内に温度計(最高・最低温度を記録できるもの)を設置して、
毎日定時に(例:お昼と決めて)確認する
と良いでしょう。
冷蔵庫内の清掃と整理整頓(例:週に1回、曜日を決めて記録)、
点検も定期的に(例:日頃の温度記録を参考に変動がある際は業者に点検を依頼)行いましょう。

また室温保存の場合でも、直射日光や高温・多湿を避けて保管してください。

容器について

貯法には、温度の他にも次のような容器の条件が記載されていることがあります。(定義は日本薬局方より)
 (1142)

これらの記載がある場合に、適切な容器で保管できているか、チェックしましょう。

また、動物用医薬品が入っていたビンや袋などから、他の容器に移し替えてしまうと、
中味や使い方が分からなくなってしまったり、誤って人が飲んでしまったりすることがあります。
誤用を防ぐために、容器はそのままに保管しましょう。

在庫管理のポイント

「先入れ先出し」の在庫管理はできていますか?
うっかり使用期限や最終有効年月を過ぎてしまうと、医薬品の効果が得られないことがあります。
使用期限の短いもの(期限が迫っているもの)から順番に使い
使用前には必ず、パッケージに記載された使用期限・最終有効年月を確認しましょう。

使用期限とは、未開封のまま適切な条件のもとで保存した場合、
製造元が品質を保証する期限
のことです。
期限が過ぎてしまった動物用医薬品は使わないでください。
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また、在庫している場所は何か所ありますか?
使用期限や最終有効年月を守るためには、漏れ無く在庫を管理、把握することも重要です。
在庫管理記録表を作成し、購入時と使用時にそれぞれ記入することで、
動物用医薬品ごとに残り何本(個、袋)あるかが常に分かるようにしましょう。
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開封後の取り扱い

動物用医薬品は、基本的に開封したら速やかに使い切りましょう。
生ワクチンや抗菌薬(主に注射剤)の中には開封後や溶解後に、数時間で効力が低下するものもあります。
溶解が必要な生ワクチンの接種に際しては、頭数が多く接種に時間がかかる場合は、
最初に全頭分の本数のワクチンをまとめて溶解するのではなく、
何本かに分けて、こまめに必要本数を溶解してご使用ください。
溶解したワクチンを農場内で持ち運ぶ場合には、氷や保冷剤を十分に入れた発泡スチロール容器などに入れ、しっかり保冷すると良いでしょう。

粉末の動物用医薬品等で、開封後速やかに使い切る必要が無いものでも、
開封後は湿度に注意するといった注意事項が添付文書に記載されています。
開封後の保管についても添付文書をよく読み、気を付けましょう。
また、使用途中のものと未開封のものを区別して、使用途中のものから使い切るようにしましょう。

効果をしっかり発揮させるために

今回ご紹介した温度・容器・在庫管理のポイントは、いずれも適切な使用に欠かせないものです。
しっかりと動物用医薬品の効果を発揮させるために、
この機会に保管について再確認してみてはいかがでしょうか。
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