EUへ輸出する牛肉の素となる牛に、エストラジオール製剤は使えない

現在、EU等(英国、EU、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー)へ輸出される牛肉の原料となる牛(以下、EU輸出肉の由来牛)へは、エストラジオール製剤の使用が禁止されています。これは、「休薬期間を過ぎたら問題ない」ということではなく、牛の生涯において一度でもエストラジオール製剤が使用された場合、その肉はEUへ輸出できない、というものになります(ただし、それ以外の米国やアジア地域等への輸出については、エストラジオール製剤の使用は禁止されていません)。
この規制に伴い、EU輸出肉の由来牛に対し、エストラジオール製剤が生涯使用されていないかを確認する体制が昨年度構築されました。

今回は本規制に関して、特にエストラジオール製剤の使用に焦点を当てて、情報を簡単に整理してみたいと思います。

エストラジオールとは?

エストラジオールは、正式には「エストラジオール17β」や「E2」と呼ばれます。
女性ホルモンであるエストロジェンの代表的な物質で、哺乳類の体の中では主に卵巣から分泌され、生殖器を中心に体の様々な部位・臓器に多様な作用をもたらします。
例えば、牛や豚であれば発情を誘起したり、子宮頸管を弛緩させたりします。人間においても、生理周期や生殖器の発育、骨代謝などにおいて重要な役割を果たしています。

エストラジオール製剤について

市場には弊社のエストラジオール注「KS」をはじめ、「エストラジオール安息香酸エステル(以下、EB)」を有効成分とする製剤が販売されています。これらのエストラジオール製剤は主に分娩の補助や、生殖器系の疾病治療に使われる他、生産現場では獣医師の判断で定時人工授精プログラム等にも使われています。
EBはエストラジオール17βと類似の物質で、体内でエストラジオール17βに変換されます。厳密には異なる物質ではあるのですが、投与によりエストラジオール17βと同様の作用を発揮することから、このEBを有効成分とするエストラジオール製剤(EBカプセルが添付されている製剤を含む)についても、EU輸出肉の由来牛への使用が禁止されています。
とはいえ前述したように、エストラジオール製剤自体は繁殖雌牛へ使用する製剤です。食用に供する牛の多くは肥育牛であることから、EBが使用された可能性のある牛がEU輸出肉の由来牛になるケースはあまり多くないと考えてよいでしょう。
なお、EUにおいては使用が禁止されているエストラジオール製剤ですが、日本では科学的根拠に基づき休薬期間を定めるなど、適正な管理の下で使用されており、基準値を超えて成分が残留している食品の流通は禁止されています。

※畜水産物中に医薬品を残留させないために、当該医薬品を動物に投与してはいけない期間のこと。主に食肉処理場へ出荷する前や搾乳前の期間として設定されます。動物用医薬品の製造販売業者が医薬品の承認時に取ったデータを基に、国が設定しています。

エストラジオール製剤の不使用確認の体制について

制度について簡潔にまとめると、「エストラジオール製剤を使用していない旨を証明する申告書」を各生産工程(繁殖農場、肥育農場など)で作成もしくは受領し、次の工程にリレーしていくことで生涯不使用を証明します。
本申告書等を基にエストラジオール製剤の生涯不使用が確認できない牛由来の肉については、EUへの輸出はできません。ただし、エストラジオール製剤が投与された牛を国内の家畜市場や食肉処理施設へ出荷すること自体は可能です。
本体制の詳細については農林水産省のHPを是非ご確認の上、不明点については担当窓口にご相談ください。(EU向け畜産食品における動物用医薬品に関する規則への対応:農林水産省)

簡単ではありますが、EU輸出肉の由来牛へのエストラジオール製剤の使用について情報を整理してみました。弊社では、上記内容を含め、Q&A形式で本件についての情報をまとめたパンフレットを作成しております。是非ご確認ください。

【よくある質問Q&A】無料配布用パンフレット



よくある質問をQ&Aにてまとめています。
ダウンロードはこちらから