寄生とは
寄生虫のお話の前に、まずは「寄生」についてご説明します。
生き物の中には、他の種類の生き物(=宿主:しゅくしゅ)に依存して生活するものが存在します。これらの関係性は、お互いにとって有益か有害かの観点で図1のように分類できます。お互いまたは片方が利益を得る関係性(=「相利共生」と「片利共生」)が存在する一方で、片方は利益を享受するけど、もう片方には有害である関係性が存在します。これを「寄生」と呼びます。
つまり、寄生虫という言葉には、宿主に対して不利益・傷害を与えるという意味が込められています。寄生虫は、宿主である家畜に対して生産性の低下といった不利益を与えます。一方で、牛のルーメンに存在する原虫(げんちゅう)は、牛と原虫のお互いが利益を受ける関係性のため、相利共生に該当し、寄生虫とは呼びません。
生き物の中には、他の種類の生き物(=宿主:しゅくしゅ)に依存して生活するものが存在します。これらの関係性は、お互いにとって有益か有害かの観点で図1のように分類できます。お互いまたは片方が利益を得る関係性(=「相利共生」と「片利共生」)が存在する一方で、片方は利益を享受するけど、もう片方には有害である関係性が存在します。これを「寄生」と呼びます。
つまり、寄生虫という言葉には、宿主に対して不利益・傷害を与えるという意味が込められています。寄生虫は、宿主である家畜に対して生産性の低下といった不利益を与えます。一方で、牛のルーメンに存在する原虫(げんちゅう)は、牛と原虫のお互いが利益を受ける関係性のため、相利共生に該当し、寄生虫とは呼びません。
図1 寄生・共生関係の比較
寄生虫とは
「寄生」という言葉は、宿主に対して不利益・障害を与えることを意味することが分かりましたが、それでは寄生虫にはどんなものがあるのでしょうか。
寄生虫の中には、原虫(げんちゅう)と蠕虫(ぜんちゅう)、節足動物(せっそくどうぶつ)が存在します。さらに、蠕虫は、吸虫(きゅうちゅう)、条虫(じょうちゅう)、線虫(せんちゅう)などに分けられます。
以下に分類図(図2)をお示しします。一口に寄生虫といっても多くの種類が存在します。
また、寄生する場所によっても区別することができます。消化管や呼吸器などの体内に寄生するものを内部寄生虫と呼び、原虫や蠕虫が該当します。一方で、毛や羽、皮膚などの体外に寄生するものは外部寄生虫と呼び、節足動物が該当します。
※例外として、皮膚内部に寄生するダニや眼の表面などに寄生する線虫も存在します。
寄生虫の中には、原虫(げんちゅう)と蠕虫(ぜんちゅう)、節足動物(せっそくどうぶつ)が存在します。さらに、蠕虫は、吸虫(きゅうちゅう)、条虫(じょうちゅう)、線虫(せんちゅう)などに分けられます。
以下に分類図(図2)をお示しします。一口に寄生虫といっても多くの種類が存在します。
また、寄生する場所によっても区別することができます。消化管や呼吸器などの体内に寄生するものを内部寄生虫と呼び、原虫や蠕虫が該当します。一方で、毛や羽、皮膚などの体外に寄生するものは外部寄生虫と呼び、節足動物が該当します。
※例外として、皮膚内部に寄生するダニや眼の表面などに寄生する線虫も存在します。
図2 寄生虫の分類図
宿主特異性と寄生部位特異性
寄生虫の特徴として、決まった場所(宿主と臓器)に寄生することがあげられます。
寄生虫にはそれぞれ、お気に入りの宿主が決まっていて、これを宿主特異性といいます。お気に入りの宿主の場合、寄生虫にとって居心地の良い環境であるため、正常に発育・増殖が行われ、長期的に寄生し続けます。
同様に、お気に入りの寄生部位や臓器も決まっていて、これを寄生部位特異性といいます。蠕虫であれば、多くが胃や小腸、大腸に寄生します。時には、寄生する臓器が通常と異なる場合があり、これを迷入(めいにゅう)と呼び通常とは異なる症状を示します。
このように、寄生虫は決まった宿主の臓器に寄生し、発育・増殖を行います。そうして成長した寄生虫は次の世代を生み、そして次の世代が新しい宿主に寄生するといったサイクルを繰り返していくのです。
寄生虫にはそれぞれ、お気に入りの宿主が決まっていて、これを宿主特異性といいます。お気に入りの宿主の場合、寄生虫にとって居心地の良い環境であるため、正常に発育・増殖が行われ、長期的に寄生し続けます。
同様に、お気に入りの寄生部位や臓器も決まっていて、これを寄生部位特異性といいます。蠕虫であれば、多くが胃や小腸、大腸に寄生します。時には、寄生する臓器が通常と異なる場合があり、これを迷入(めいにゅう)と呼び通常とは異なる症状を示します。
このように、寄生虫は決まった宿主の臓器に寄生し、発育・増殖を行います。そうして成長した寄生虫は次の世代を生み、そして次の世代が新しい宿主に寄生するといったサイクルを繰り返していくのです。
寄生虫の悪影響
寄生虫が家畜に感染した場合、どのような被害があるのでしょうか。
感染している寄生虫が少ない場合、家畜が顕著な症状を示さないこと(=不顕性感染)が多くあります。ただし、目には見えなくとも、食欲不振、増体重量の低下、乳量の低下、産卵数の低下、流産などの悪影響を引き起こし、ひいては農場全体の生産性の低下へと繋がっている可能性があります。
なんだか家畜の調子が悪いなという場合、実は寄生虫が原因だったということがあるかもしれません。
一方で、家畜が重度感染やストレス下にある場合、顕著な症状が現れます。特に幼い時期や栄養不足、暑熱や密飼いといった状況では重症化しやすく、最悪の場合は死に至ります。
感染している寄生虫が少ない場合、家畜が顕著な症状を示さないこと(=不顕性感染)が多くあります。ただし、目には見えなくとも、食欲不振、増体重量の低下、乳量の低下、産卵数の低下、流産などの悪影響を引き起こし、ひいては農場全体の生産性の低下へと繋がっている可能性があります。
なんだか家畜の調子が悪いなという場合、実は寄生虫が原因だったということがあるかもしれません。
一方で、家畜が重度感染やストレス下にある場合、顕著な症状が現れます。特に幼い時期や栄養不足、暑熱や密飼いといった状況では重症化しやすく、最悪の場合は死に至ります。