2021年12月16日記事内容に一部修正を行いました。
ご迷惑をおかけいたしまして、申し訳ございません。
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スタートバック®とは
スタートバック®は、日本初、国内で唯一承認されている乳房炎ワクチンで、黄色ブドウ球菌(CP8)SP140株の不活化菌体と大腸菌J5株の不活化菌体が含まれており、黄色ブドウ球菌、大腸菌群及びコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)による臨床型乳房炎の症状の軽減に効果があります。
作用機序
黄色ブドウ球菌(CP8)SP140株が産生するスライムとは、細菌により分泌される多糖類であり、バイオフィルムの形成に関連しています。黄色ブドウ球菌はバイオフィルムに包み込まれることで、宿主の免疫や抗生物質による攻撃から逃れ、バイオフィルム内で安全に増殖することができます。スタートバック®を接種すると、スライムに対する免疫も誘導されるので、より効果的に黄色ブドウ球菌の増殖を抑制することができます。また、スライムは多くのCNSも産生することがわかっていますので、CNSの増殖も抑制されます。
また、大腸菌J5株は、通常細胞壁外膜の最外層にあるO抗原を欠損しており、大腸菌群に共通のコア多糖が露出した変異株です。(図1)そのため、スタートバック®を接種すると大腸菌だけでなくクレブシエラといった大腸菌群に対する免疫も誘導され、増殖を抑制します。
接種プログラムについて
健康な妊娠牛の分娩予定日の45日前(±4日)、10日前(±4日)及び分娩予定日の52日後(±4日)の計3回、1用量(2mL)ずつを牛の頚部筋肉内に左右交互に注射を行います。(図2)
(毎回の分娩ごとに3回接種します。ワクチンの効果を最大限引き出すために、分娩予定牛への全頭接種をお勧めします。)
(毎回の分娩ごとに3回接種します。ワクチンの効果を最大限引き出すために、分娩予定牛への全頭接種をお勧めします。)
国内臨床試験成績
抗体価の推移
スタートバック®を接種した群と対照群で、血清中黄色ブドウ球菌抗スライム抗体及び大腸菌J5株抗体陽性率を比較すると、スタートバック®の接種により黄色ブドウ球菌抗スライム抗体及び大腸菌J5株抗体陽性率は有意に上昇しました。(図3)
臨床症状の軽減
スタートバック®の接種は、臨床型乳房炎を発症した牛において乳房炎に罹患した分房の割合(罹患分房率)を有意に減少させました。(表1)また、臨床型乳房炎に伴う全身症状を有意に軽減し、乳汁の異常スコアも有意に軽減させています。
臨床型乳房炎発症牛が治療を施されて治癒した割合(治癒率)は、ワクチン群では92.3%、対照群では72.7%で、ワクチン群で治癒率が高い傾向が認められました。また、臨床型乳房炎を発症し、死亡・廃用となった割合(死廃率)も対照群では3頭の牛が臨床型乳房炎の重篤な症状により死亡・廃用になったのに対して、ワクチン群での死廃率は0%でした(表2)。さらに、ワクチン群では治療しなくても治癒した症例が3例(23.1%)いたことから、スタートバック®を接種すると治癒率が高く、死廃率が低くなる傾向がある事が分かりました。
スタートバック®の接種状況について
スタートバック®は2016年9月に発売し、2021年で5年目を迎えました。
スタートバック®接種対象となる乳牛の飼養頭数(2歳以上)に対する接種率は年々向上し、5年目には18%を超えました。(図5)
本ワクチンの効果を実感いただき、継続的にご使用いただいている方が増えています。みなさまの乳房炎対策の一つとしてスタートバック®をご検討いただけましたら幸いです。
次回は、実際にスタートバック®をご使用いただいている皆様へのインタビューを掲載予定です。色々なエリアのお客様にインタビューをさせていただく予定ですので、ぜひご覧ください。
スタートバック®接種対象となる乳牛の飼養頭数(2歳以上)に対する接種率は年々向上し、5年目には18%を超えました。(図5)
本ワクチンの効果を実感いただき、継続的にご使用いただいている方が増えています。みなさまの乳房炎対策の一つとしてスタートバック®をご検討いただけましたら幸いです。
次回は、実際にスタートバック®をご使用いただいている皆様へのインタビューを掲載予定です。色々なエリアのお客様にインタビューをさせていただく予定ですので、ぜひご覧ください。