魚にもヒトにも安全なワクチンの接種について

魚にもヒトにも安全なワクチンの接種について

魚類養殖では、効果的な魚病対策として注射ワクチンが無くてはならないものになっています。また、注射ワクチンが普及するにつれ、接種の機会も多くなっていることから、稀に人への誤注射が起こっているようです。そこで養殖魚にもヒトにも安全なワクチンの接種についてご紹介します。

ワクチン使用の手順

 水産用医薬品を使用する場合は、都道府県の水産試験場等の指導機関から指導書の交付を受ける必要があります。また、特に水産用ワクチンについては水産用ワクチン使用指導書の交付を受ける必要があり、更に注射ワクチンの接種に従事する人は接種に関するワクチン接種講習を受けなければなりません。この講習でワクチンの知識や正しい接種方法等についての指導を受けることが出来ます。
 指導書の交付手続きやワクチン接種講習会の開催については、都道府県の水産試験場等の指導機関にお問い合わせください。

注射ワクチン接種作業での注意点

①麻酔はしっかりと
 魚への接種の場合、筋肉や腹腔内に注射針で接種するのですが、そのためにはしっかり麻酔を効かせることが重要です。
麻酔の効きが弱いと、魚が暴れて接種部位や接種量が不確実になってしまい、魚にもヒトにも危険ですし、何よりも魚を掴むことに手間が掛かってしまい、結果的には作業時間が長くなってしまいます。
 また、麻酔の効き方は魚種や水温、サイズ、時間によっても違う場合があるので、接種後一定時間内に麻酔から覚めているかどうかの確認も必要です。
②作業は慌てずに
 ワクチンの接種は稚魚を導入してから数カ月以内の数十グラムから100グラム程度までの時期に行われることがほとんどです。そうした時期なので、異常魚の選別や尾数のカウント等を行いながら複数の生簀に魚を分養する作業を併せて行える絶好の機会でもあります。
 これらの作業は出荷までの期間にそう頻繁に行えるものでは無いので、出来るだけ正確で確実に行うのが望ましく、作業を急ぐあまりに全てが不確実になってしまうのはとてももったいないことであり、その後の飼育成績にも大きく影響します。
急いだ作業をしても、確実に作業をしても、掛かる時間に大きな差は無いものです。

より安全で確実な注射ワクチン接種作業のために

 このように、色んな意味で絶好の機会であるワクチン接種作業をより安全に確実で効果的に行うことをご紹介しました。
これらの事項を確実に行うために、具体的な方法として一連の作業を見て全体を統括する係を一人以上配置するのが良いと思います。
●生簀から魚をすくうグループ
●麻酔をかけるグループ
●接種をするグループ
のペースをしっかりと合わせることで、安全で確実でよりスムーズな作業が可能となります。

 また、注射ワクチンが普及するにつれ、接種の機会も多くなっていることから、稀に人への誤注射が起こっているようですが、これらのほとんどは上記①麻酔はしっかりと②作業は慌てずに、の意識が薄れた場合に起こることが多いようです。
よって①と②の意識を高めることで起こる可能性は限りなく低くなるはずです。

 そして、更に安全性を高めるために、共立製薬からは、以下の啓発やニードルガード・防護用グローブの提供もされているので、是非ご活用いただくことをお勧めします。
▼定期的に、接種を行う際の作業工程や注意事項を確認し、意識を高めて事故発生予防に努めてください。
水産用ワクチンを安全にお使いいただくために(共立製薬)
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▼連続注射器にニードルガードを装着して接種してください。
▼針を通しにくい厚みがある手袋を着用してください。
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また、事故防止のため、防護メガネ、保護マスク等も着用してください。