臭いにも違いが。畜産農場で発生する臭いの種類を徹底調査

臭いにも違いが。畜産農場で発生する臭いの種類を徹底調査

「農場で発生する臭いをどうにかしたい」「アンモニア臭の対策をしっかりしているはずなのに臭いが減らない」など、多くの農場の経営者を悩ませている臭いにまつわる問題。実は農場で発生する臭いには様々な種類があり、ひとつの臭いに対策をしただけでは効果があまりない場合があります。この記事では、農場で発生する臭いの種類と、畜舎や堆肥処理場などの施設ごとの臭いの違いについてまとめました。

悪臭防止法とは

この法律では臭いの強さに対する規制と、特定悪臭物質が定められています。

臭いの強さに関する規制

臭いの強さに対する規制にはふたつの種類があります。ひとつは「物質濃度規制」、もうひとつは「臭気指数規制」です。物質濃度とは臭い物質の大気中の濃度です。臭気指数とは「人が臭いを嗅いだときにどれだけ強い臭いなのか」を表すものさしです。

物質濃度が高くない場合でも、いくつもの臭いが組み合わさることで、不快な臭いになります。このような、人の鼻の感覚により近づけるために、臭気指数が定められました。臭気指数は臭気判定士により数値化されます。臭気判定士は国家資格であり、取得のために筆記試験と嗅覚試験を受けて合格する必要があります。国家資格試験の合格率は25%であり難関です。臭気指数は機械を使った臭いの判定と同じぐらい正確だと言われています。アメリカやヨーロッパ、中国などの外国でも採用されている実績があります。

特定悪臭物質

 (564)

「不快な臭いの原因となり、生活環境を損なう恐れのある物質」と規定されており、22物質あります。このうち畜産に関係する臭いの原因になるものはアンモニア、トリメチルアミン、硫黄化合物、低級脂肪酸類など計11物質とされています。

堆肥舎から発生する臭い

堆肥舎は農場における最も臭いの強い施設だと言われており、アンモニア、トリメチルアミン、硫黄化合物、低級脂肪酸などが臭い物質です。堆肥の処理を上手に行えており、好気的に発酵しているときにはアンモニアが臭いの原因になります。アンモニアは尿に含まれる尿素が、糞中の微生物により分解されることで発生します。糞便を堆肥にする過程では、糞臭の次にアンモニア臭が発生します。アンモニア臭は糞便の処理を始めてから2〜3日でピークに達します。そして、切り返し(堆肥を混ぜる作業)の直後に再び臭いのピークに達します。

堆肥舎の悪臭

一方、堆肥の発酵が嫌気状態になっていると、トリメチルアミン、硫黄化合物、低級脂肪酸が発生し、強烈な臭いを放ちます。硫黄化合物や低級脂肪酸などの臭いはわずかな臭いでも違和感となり、問題になります。アンモニアに比較してこれらの物質は最大で2万倍~4万倍の臭いの強さを持つと言われています。嫌気状態の堆肥の中では嫌気性菌が栄養分を分解して臭いの原因物質を作り出しています。つまり、糞便を堆肥にするつもりで作業をしたのに、どんどん栄養分を悪臭に作り変えられてしまうということです。

畜舎から発生する臭い

畜舎は堆肥舎の次に臭いが発生する施設です。畜舎で発生する臭い物質にはアンモニア、トリメチルアミン、硫黄化合物、低級脂肪酸が含まれています。畜舎における臭いの原因としてはアンモニアが主になります。アンモニアは堆肥舎と同じように尿中の尿素を糞便中の微生物が分解することで発生します。また、掃除しきれなかった敷き藁や、床などに付着した糞尿もアンモニアを発生させます。

悪臭は畜舎の様々な場所から発生する

畜舎では様々な場所から臭いが発生します。食べ残した飼料が腐敗することで硫黄化合物や低級脂肪酸、トリメチルアミンなどが発生し、家畜に付着した糞尿は体温によって温められて悪臭源になります。

畜種による臭いの違い

畜種によっても畜舎の臭いの原因物質は異なります。排せつ物の成分の違いや、畜舎構造や処理法の違いがあるためです。

サイレージから発生する臭い

臭いの発生源というと糞尿や家畜ばかりに注目してしまいますが、サイレージから発生する臭いが問題になることがあります。サイレージの発酵が上手くいかない場合に、低級脂肪酸の臭いが発生してしまうことが原因になります。

農場で発生するさまざまな臭いに対処するためには

農場ではさまざまな臭いの原因物質が発生していることが分かりました。堆肥発酵の改善や、畜舎の頻繁な清掃などにより減臭を行っても、残された複合臭が気になる場合があります。共立製薬の開発した消臭剤「エポリオン」は化学的な反応でさまざまな臭い物質を除去することができるため、一歩踏み込んだ消臭を行えます。農場の臭い問題に頭を悩ませている農場の経営者さんは、是非「エポリオン」を試してみてはいかがでしょうか。
 (885)