生菌剤を用いた離乳子豚の増体改善について

生菌剤を用いた離乳子豚の増体改善について

皆様の農場でも日頃から生菌剤をご使用されているかと思いますが、その内容や効果についてあまり意識されていない場合もあるのではないでしょうか。今回生菌剤の基本的な特徴や、養豚における出光独自の枯草菌DB9011株の活用についてご紹介することで、より効果的に生菌剤をご活用いただける一助になればと思います。

生菌剤について

生菌剤とは1989年にFullerによって「宿主動物の腸内細菌のバランスを改善することによって宿主に有効な作用をする生きた添加微生物」と定義されています。現在、市販されている生菌剤には数多くの種類があります。

生菌剤に含まれる主な菌の特徴について

枯草菌

枯草菌であるバチルス サブチルス(Bacillus subtilis)を含有した製品は多くの種類が市販されています。最も重要な特徴は芽胞形成ができるところにあります。芽胞を形成した状態の枯草菌は、環境変化に耐性が高く、夏場の高温環境下でも不活化せず、動物体内で効力を発揮します。

乳酸菌・ビフィズス菌

乳酸菌は家畜用生菌剤の中で最も多くの種類が市販されています。乳酸菌もビフィズス菌も腸管内で乳酸を産生するため乳酸菌と総称されますが、乳酸菌とビフィズス菌は違う菌になります。ビフィズス菌は乳酸の他に酢酸も産生しますが、酸素存在下では発育することができません。

酪酸菌 

酪酸菌であるクロストリジウム ブチリカム(Clostridium butyricum)は糖質を利用して酪酸を生成し、乳酸菌と同様に成長促進等に効果があるといわれています。Clostridium属菌は、枯草菌同様に芽胞を形成します。

枯草菌の特徴(他の有用菌との比較)

芽胞を形成する

芽胞は、通常の細菌であれば死滅してしまうような温度、pH、圧力、化学毒性物質など過酷な環境に対して耐性を持つ状態を示します(Bernardeau,2017)。菌にとって適した環境になれば芽胞から栄養体となり増殖します。

各種酵素を産生し、飼料の消化吸収を補助

枯草菌は酵素分泌による家畜生産性への寄与が大きいとされています。(Mingmongkolchai,2018)
枯草菌の種類により産生する酵素が異なり、種々の酵素がタンパク質や炭水化物等を分解し飼料の消化吸収を補助します。

枯草菌に期待される家畜への役割とは?

枯草菌に期待される役割は、以下2点に集約されます。
 (1596)

枯草菌の家畜に対する影響について多くの研究者がその報告をしています。例えば、枯草菌を離乳期子豚へ継続給与することにより腸内の細菌叢のバランスが良好に保たれたことで糞便臭が改善されたといった報告があります。

枯草菌(バチルス・サブチルス)DB9011株について:名前の由来

出光の生菌剤に含まれるDB9011株は群馬県のとあるゴルフ場の土壌から発見された枯草菌です。
名前の由来は1990年11月に土壌から分離され、数々の有効利用の可能性があることから“夢の菌” ドリーム(Dream)バチルス(Bacillus)9011株と命名されました。

枯草菌DB9011株の特徴について

各種酵素産生能が高い

下表の通り、枯草菌の標準株に比べて主要な3種の酵素活性が高いことがわかりました。
 (1572)

腸内細菌叢のバランスを整える

枯草菌DB9011株が腸内細菌叢のバランスを良好に保つことによる家畜への影響について種々のデータがあります。
以上により、枯草菌DB9011株の産生する各種酵素が病原菌の発育抑制することで、家畜の生産性に貢献できるのではないかと考えています。

寒暖差のある季節には離乳子豚にDB9011株を

子豚の衛生管理や、飼育環境の対策は十分にされていても、離乳子豚の増体に関してお悩みはありませんか。特に春と秋は寒暖差の大きい季節であり、子豚も体調を崩しやすく、離乳後下痢の発生が多くなると言われています。
そこで、寒暖差の大きい季節における離乳子豚の増体改善を目的とした東北エリアでの生菌剤給与事例をご紹介したいと思います。

枯草菌DB9011株配合製品フィールド試験結果のご紹介(東北エリア)

 (1579)

試験期間中の気温条件

対照区の試験期間が9月下旬~11月中旬、試験区は10月下旬~12月中旬に設定し、試験区の方が対照区に比べて平均気温が7.6℃低く、寒暖差については2℃大きい状況であった。(図1)
 (1595)

試験期間中(48日間)の増体重について

試験区は対照区と比較して寒暖差が大きい環境だったにも関わらず、平均2.3kg、日増体重で平均49g大きくなりました。(図2)
 (1585)

費用対効果について

離乳子豚に枯草菌DB9011株配合製品を給与することで良好な増体重結果が得られました。
そこで、費用対効果をシミュレーションしました。※豚の飼養管理では、一般的に体重30kg到達日齢が1日遅くなると出荷が2.5日遅れるとも言われます。
その結果、1頭当たり約840円(母豚100頭の場合、年間約100万円)のエサ代節約につながる可能性があると試算されました。
 (1588)

共立製薬株式会社では、出光興産株式会社の独自の枯草菌DB9011株を含有した種々なタイプの生菌剤を取り扱っております。離乳子豚の増体改善、特に寒暖差の大きい時期の対策に、枯草菌DB9011株配合製品をぜひご活用ください 。