2000年以降、世界中でも様々な家畜伝染病が発生していますが、日本国内においても口蹄疫、PED、鳥インフルエンザ、豚熱など、農場に甚大な被害を引き起こす疾病の発生が相次いでいます。農場を守るための飼養衛生管理基準は大幅に改正され、家畜を飼育するうえで「環境衛生」はさらに身近なものとなりました。とりわけその中でも「消毒」は農場内の様々な場面で日々実施されている衛生対策の1つです。
消毒の目的は?と聞かれたら、疾病の対策や予防といったマイナスをゼロにするイメージが大きいのではないでしょうか。しかし、本来は何もない時だからこそ消毒を徹底し、さらなる生産性の向上に繋げられるのが消毒です。
例えば、家畜にワクチンを接種することにより症状を軽くする効果が期待できますが、農場が病原体に重度に汚染されていたり、環境が整っていない場合にはワクチン接種を行ってもその効果を十分に発揮できないこともあることはよく知られています。
この連載では、複数回にわたり、消毒の基礎から応用までをお伝えしていきたいと思います。