開発の裏側!水産用ワクチン:ピシバック 注 レンサα3 oil ~後編~

開発の裏側!水産用ワクチン:ピシバック 注 レンサα3 oil ~後編~

前編では、ピシバック 注 レンサα3 oilを開発した背景とエピソードをご紹介しました。
後編では、同じくピシバック 注 レンサα3 oilを開発した現場と取り組みについてご紹介します。

実験設備の紹介

当社は、茨城県つくば市にある「共立製薬株式会社 先端技術開発センター」にてワクチン開発を行っています。
この施設内に、実験室と動物実験の設備を備えています。
図1 共立製薬株式会社 先端技術開発センター(撮影:2...

図1 共立製薬株式会社 先端技術開発センター(撮影:2024年)

実験室

実験室には、魚病検査やワクチン株の培養方法の検討(図2)、遺伝子検査など、幅広い試験・研究に対応するよう、様々な機器を取り揃えています。
実験では、薬品のほか、ワクチン株となる細菌・ウイルス等の病原体を取り扱います。
そのため、作業者は白衣・ゴーグル・ゴム手袋を着用し、安全確保を徹底しています。
また、病原体の外部への漏出を防ぐため、安全キャビネット(図3)を使用し、安全に作業ができる環境を整えています。
こうした取り組みは実験結果の精度向上に寄与するとともに、製品の品質確保にも繋がっています。
図2 培養タンク

図2 培養タンク

幅広いサイズの培養装置を取り揃えており、さまざまなスケールでの検討ができます。
図3 安全キャビネット内での作業の様子

図3 安全キャビネット内での作業の様子

動物実験室

水産用ワクチン開発では、生きた魚を用いた動物実験が必要不可欠です。
多くの魚を飼育できるように、飼育に適した様々なサイズの水槽と周辺設備を揃えています。(図4)
これにより、つくば市は内陸地ですが、試験用の海水魚を通年飼育することで、開発スピードを速めています。
また、試験で使用した海水は、常に浄水処理と消毒処理を行うことで、環境に対しても配慮しています。
図4 飼育水槽

図4 飼育水槽

試験に供する魚について

魚の入手方法

当社の施設内では、魚の種苗生産はしていないため、外部より魚を入手する必要があります。
さらに、開発スピードを遅らせないためには、試験のタイミングに合わせて、適切なサイズの魚を必要な数だけ用意する必要があります。
そのため、魚種によって地域は異なりますが、日本全国で10箇所程度の入手経路を確保するようにしています。
また、試験に供する魚は健康であることが必須ですので、導入元の種苗会社とは連絡をこまめに取り、魚の調子や発育状況などを密に確認しています。
図5 魚を生きたまま、全国各地から入手している

図5 魚を生きたまま、全国各地から入手している

魚の飼育について

魚を入手した後は、魚の健康に気を付けた飼育管理を実施しています。
例えば、受け入れ前には、感染症が発生しないように、事前に水槽の清掃・消毒を徹底しています。
また、魚は水温の変化に敏感なため、受け入れの際は輸送する活魚車の水温と水槽の水温がなるべく同じになるように調整をしています。
そして、受け入れ後は、ろ過と紫外線消毒によって水槽の水を清潔に保ち、飼育環境を良好に保っています。

野外試験

開発の初期段階では当社の施設にて試験を実施しますが、最終段階では、現場の養殖場で野外試験を実施します。(図6)
ご協力いただく養殖場にて、実際にワクチンを投与し、ワクチンの有効性と安全性を評価します。
このような大規模な臨床試験を行うことで、製品が販売された時の有効性と安全性を担保することができるのです。
図6 養殖場にてワクチンを投与

図6 養殖場にてワクチンを投与

開発への姿勢

開発メンバーは、養殖産業をより発展させたいという想いを強く持っています。
魚病対策の技術で世界トップになることを目標に掲げ、業界に貢献できる開発に日夜考えを巡らせています。
そのため、多くの関係機関と連携を取りながら、生産者さまとの情報交換や、学会での研究成果の報告等を通じて、多方面から開発のアドバイスを得ています。

※2025年の発表例:令和7年度日本魚病学会春季大会
「ブリにおけるⅠ、ⅡおよびⅢ型α溶血性レンサ球菌症に対する凝集抗体価測定法」

現場のニーズに合わせた製品を発売できるように、日々開発を行っています。
これからも、当社の製品が皆さまのお役に立てるよう尽力してまいります。
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