臭気吸着分解メッシュ〈さやか®〉は、アンモニア臭などを分解できるメッシュです。
〈さやか®〉の耐久年数の目安は屋外で3年、屋内で5年とされていますが、効果の持続は設置されている環境やメンテナンスの方法・頻度によって変わってきます。

はじめに

 今回は実際に農場で使用されている〈さやか®〉を用い、簡易臭気測定試験の結果をご紹介します。すでに公開されている「臭気吸着分解メッシュ〈さやか®〉」の記事と併せて、〈さやか®〉のメンテナンスや交換目安のご参考になれば幸いです。
(試験実施:共立製薬(株))

試験区分

 日本国内の4軒の養鶏場より、使用中の〈さやか®〉の一部を5枚いただきました。それらを写真1のように水道水で洗って汚れを落とし、自然乾燥させたものを「水洗区」、そのままのものを「現状区」とし、アンモニア吸着・分解の効果を検証しました。試験に用いた5枚の〈さやか®〉の詳細は表1の通りです。

写真1〈さやか®〉を洗っている様子

表1

試験方法

 イラストのように、紙コップにアンモニア水を入れ、その上に蓋をするように〈さやか®〉を被せます。箱を密閉し、1分間経過したら、箱に開けた小さな窓からアンモニア検知管を装着した検知器を差し込み、箱の中のアンモニア濃度を測定します。

試験結果

結果を表2に示します。

表2

 箱の中に希釈したアンモニア水を入れた紙コップを1分間放置したとき(対照区1)のアンモニア濃度は8ppmでした。しかし、新品の〈さやか®〉で紙コップに蓋をしてから測定すると(対照区2)、アンモニア濃度は1ppmに減少していました。この2つの対照区の結果より、〈さやか®〉が確実にアンモニアを吸着・分解していることが確認できました。
 次に、A農場の結果です。設置から3年経過したものは現状区で4ppmであり、新品の〈さやか®〉より吸着・分解能力は劣るものの、アンモニアを吸着・分解していました。さらに、水洗区では2.5ppmとなり、水洗して乾燥したものは、現状区より多くのアンモニアを吸着・分解していることが分かりました。設置から5年経過したものも同様の傾向で、現状区は7.5ppmで〈さやか®〉を使用していない場合とほぼ同じ結果でしたが、水洗したものは2.5ppmであり、水洗することでアンモニアを吸着・分解する能力が復活していました。
 続いて、B農場の結果です。B農場は現状区、水洗区ともに10ppmであり、水洗しても吸着・分解能力は変わりませんでした。さらにC、D農場については、現状区でいずれも2ppm、水洗区ではいずれも3ppmであり、新品の〈さやか®〉よりは劣るものの、ある程度の吸着・分解能力が確認されました。

まとめ

 設置場所で比較してみると、C、D農場のように2枚重なっている部分の上側や、壁に垂れ下がっているなど、蒸気が直接当たりにくいところは比較的〈さやか®〉の劣化は少ない一方で、A、B農場のように直接蒸気が当たる場所はよりアンモニアの吸着・分解能力が減少していることが分かりました。

 今回の試験で興味深かったのは、A農場(設置5年目)のように見た目は比較的きれいでも、測定してみると吸着・分解能力が劣っているものがあった点です。見た目の汚れ具合で効果を判定するのは難しく、また水洗だけでも吸着・分解能力が復活する事例も確認できましたので、日頃のメンテナンスや耐久年数の目安を参考にした交換をお勧めいたします。