更なる飛騨牛深化の取り組み ~JAひだインタビュー~ 第2回 ② 飛騨HACCP研究会 JAひだ畜産部 桑山部長

更なる飛騨牛深化の取り組み ~JAひだインタビュー~ 第2回 ② 飛騨HACCP研究会 JAひだ畜産部 桑山部長

前回に引き続きJAひだ畜産部 桑山部長にお話をお伺いしています。
研究会の立ち上げや、軌道に乗るまでの道のりについてお話しいただきました。

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畜産ナビ:
新しい取り組みをしていくなかで農家さんからいろいろなご意見なども出てきたと思います。どのように進めていかれたのでしょう。

桑山部長:
JAからの方向付けだけだと絶対にうまくいかないと思っていました。なので、こちら(JA)側ですべて作って「これでやってください」というやり方はせずに、農家さん自身に必要性を感じてもらうように働きかけました。長丁場は覚悟の上でした。
ちょうど飛騨では世代交代される経営体も多く、受入られやすかったのかなとも思います。

畜産ナビ:
参加されている方からの反応はいかがでしょう。

桑山部長:
取り組みをはじめてから枝肉の成績が良くなったような気がするとおっしゃる方もいます。
また、飼養衛生管理基準についてより深く知ることで、農場の環境や仕事の内容をこれまで以上に細かく見るようになったというお話もいただきます。

畜産ナビ:
飛騨の生産者さんは個人経営の方が多い印象なのですが、個人経営の方の方が飼養衛生管理に関してしっかり取り組まれるのでしょうか。それとも企業体の方が熱心なのでしょうか。違いを感じられることはありますか?

桑山部長:
個人、法人関係なく経営者の方の想い一つではないでしょうか。

畜産ナビ:
地域にもいろいろな農家さんがいらっしゃると思うのですが、それぞれの飼い方は農家さんにお任せということなのでしょうか。

桑山部長:
JAの飼料を使っていただいている農家さんについては基本的なマニュアルがあります。ただ、農家さんによって導入牛の月齢や体重、得意とするところが違いますから、基本的なマニュアルに少しずつ手を加えて個々のマニュアルを作られています。

畜産ナビ:
農家さんもマニュアルに沿って飼育しているので品質がそろうということでしょうか。
勉強会

勉強会

桑山部長:
マニュアルももちろんですが、毎週月曜日がセリの日でして、この日には大概皆さん自分の出した牛の枝肉を飛騨ミートに見に行かれます。出荷した自分の牛をみて、飛騨ミートの外で農家さん同士の情報交換が始まるんですよ。「お宅のあの牛良かったけどとうやったの」なんて。それを皆さん毎週のようにやられています。

畜産ナビ:
生産者さん同士での情報交換というのはあまり聞かないお話だと思います。

桑山部長:
格付明細を見ただけでは枝ぶりとか脂質とか、いいものとそうでないものはわからないじゃないですか。飛騨ミートの存在は飛騨の飛騨牛が良くなっている一番の要因だと思います。農家のみなさんが実際の枝肉を見て常に情報交換をする場になっているので。
遠方へ出荷するとこうはいきませんからね。

畜産ナビ:
実際に枝肉を見比べて生産者さん同士での気づきがあるということですね。

畜産ナビ:
現在、共立製薬では勉強会をお手伝いさせていただいています。お忙しい時間帯に農家さんにお集まりいただいているわけですが、最初から人は集まったのでしょうか。

桑山部長:
いえいえ。まずは協議会の三役の方たちといろいろ作らせてもらうところから始めました。役職の任期が2年間で、次の代に移るんですが、最初の三役の方たちが2年の任期を過ぎても参加してくださっています。2年ごとに3人で、次は青年部もメンバーに加えよう…という話で今まで続いています。

畜産ナビ:
三役の方たちは最初から積極的だったのでしょうか。

桑山部長:
ありがたいことに、スタートしたときの三役の方たちが「これは大事なことだからきちんとやろう」という風におっしゃってくださって。

畜産ナビ:
三役の方々と二人三脚でやってこられた、ということですね。どのように研究会を進めていったかお聞かせいただけますか。

桑山部長:
まずは三役の方に飼養衛生管理の仕組みを作っていただき、それぞれの農場で実践していただきました。実践していただいた内容を新たに加わったメンバーに教えてもらい、新しいメンバーは学んだ内容を自分の農場で実践してもらいました。

畜産ナビ:
なぜ飛騨地域ではこのような取り組みが軌道に乗ったのか、不思議に思われる方も多いと思いますが、各エリアで農家さん同士がコミュニケーションを取れる土壌があったのが大きいのではないでしょうか。

桑山部長:
先ずは飛騨肉牛生産協議会の組織があることです。これによって飛騨という広い地域から代表者を集め協議することができ普及に繋げれました。次に飛騨ミートの取り組みで農家の意識レベルが高かったことが根底にあります。
飛騨HACCP研究会は、毎月開催することを原則として進めてきました。これが生産者やJA職員のモチベーションの維持に繋がり今までやってこれられました。

③に続く