更なる飛騨牛深化の取り組み ~JAひだインタビュー~ 第2回 ③「おうちで飛騨牛」プロジェクト JAひだ畜産部 桑山部長

更なる飛騨牛深化の取り組み ~JAひだインタビュー~ 第2回 ③「おうちで飛騨牛」プロジェクト JAひだ畜産部 桑山部長

前回に引き続きJAひだ畜産部 桑山部長にお話をお伺いしています。
コロナ禍で始まったあたらしい取り組み「おうちで飛騨牛」プロジェクトについてお話しいただきました。

 (2410)

畜産ナビ:
「おうちで飛騨牛」 プロジェクトはどなたの発案で始まったのでしょうか。

桑山部長:
コロナにより飛騨地域の観光客が激減したことで、飛騨牛の消費が減り枝肉価格が週を追うごとに下落し続ける中、JAとして何かしなければ、と、地域創生事業を手掛けている地元金融機関に助けを求めたのが始まりで、そこでクラウドファンディングというアイデアをいただきました。

そして「がやがや会議 」で企画を煮詰めていく中で、今の形にたどり着きました。クラウドファンディングを利用するという点は同じなのですが当初想定していた建付けとは若干異なっています。
当初はJAひだの食肉販売部門から全て発送するという形が提案されたのですが、以前より、飛騨肉牛生産協議会は定期的に地元の精肉店から肉を買う、飛騨牛消費拡大運動という企画をやっていたこともあって、そういった精肉店も対象にできないかという話になりました。
JAひだから在庫がなくなったところで、ほかの精肉店の在庫が動かないことには状況は変わらないので。
飛騨管内の在庫を減らすという考え方に加えて、飛騨管内様々な精肉店から支援者の方に発送することで、それぞれの店舗と消費者との接点づくりができないか、つまりクラウドファンディング一回きりではなく、継続的に買って頂けるルートが増やせないかというアイデアが「がやがや会議」からでてきて。じゃあこれで行こう、と。
本当に時間がなくて、見切り発車でのスタートでした。この日からクラファンやります、と言って。スタートしてしばらくは怖くてしょうがなかったです。(笑)

畜産ナビ:
農家さんや精肉店さん最初から協力的だったのでしょうか。

桑山部長:
当時はまだクラウドファンディングというのが浸透していなかったので、精肉店さんに説明に伺っても好意的な反応をいただけないこともありました。
ただ、大体のお店さんは「まぁ付き合ってやるか」といった感じで賛同してくださって。
始まってみると予想以上の反響をいただくことができました。

畜産ナビ:
立ち上げも早かった印象です。コロナ禍の影響が3月ぐらいからではじめて、4月ぐらいにクラウドファンディングが立ち上がったんですよね。

桑山部長:
本来であれば春先に価格が上がるはずのものが値下がりしてしまって、これは何とかしなければ、と半月ほどで実施に至りました。

畜産ナビ:
購入した際に送っていただいたお礼のお手紙を持ってきたのですが、受け取ったときとてもうれしかったです。
お礼の手紙

お礼の手紙

桑山部長:
これも時間がなかったので、農家さんや精肉店のみなさんにメッセージを書いていただいてLINEなんかで写真を送ってもらいました。それをまとめる形で作成しています。

畜産ナビ:
その年(2020年)のクラウドファンディング第1位  だったそうですね。

桑山部長:
支援いただけるだけでもありがたいのに、2020年アワード総合賞第1位をいただきました。
また、クラウドファンディングにチャレンジすることがきっかけで通販に力を入れるようになった精肉店さんもあると伺っています。宅配は手間がかかるのですが、観光とか季節にあまり左右されない需要がある様です。

畜産ナビ:
注文から届けていただくまであまり時間がかからなかった印象がありました。

桑山部長:
精肉店さんにも組合がありまして、組合長さんからきちんとお話いただいたおかげで短期間での実施ができたのだと思います。いきなり個別にやろうとしても上手くはいかなかったでしょう。

畜産ナビ:
調整はJAさんがされたのでしょうか。

桑山部長:
はい、JAで調整しました。
参加いただいている精肉店さんには、対応可能な支援品の確認と1日に発送対応がどのくらいできるか事前に把握し、支援品や数量に応じて精肉店さんに振り分けて対応しました。

畜産ナビ:
貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。最後にひとことお願いします。

桑山部長:
共立製薬さんとご一緒することで、他の地域の情報も入るし、緊張感をもって勉強会を実施できています。また、長い期間お付き合いいただいているおかげで飼養衛生管理や農場HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の取り組みができていると思います。
農家さんも現状維持ではだめだ、という意識が芽生えているし農家さん自身の口からほかの方へ伝えていくことができています。
さまざまな取り組みを通じてご一緒している中で結果として農家さんに活気がでるのはありがたいことです。

次回は飛騨肉牛生産協議会の勉強会の様子と生産者の方々の声をお伝えします。