2020年の改正で罰則が強化!家畜伝染病予防法に従わなかったときの罰金
家畜伝染病予防法は、家畜の伝染病を予防するための措置について定められた法律です。家畜の所有者はこの法律に従い、農場の出入口付近に消毒設備を設置するなど、家畜防疫に必要な準備を整えなければなりません。自社の農場で殺処分の対象となる家畜伝染病に感染した家畜や感染が疑われる家畜を発見した際は、家畜保健衛生所への届け出や対象の家畜の隔離を速やかに行い、家畜伝染病だった場合は殺処分なども家畜の所有者の義務となります。家畜防疫員の指示に従い、殺処分などの適切な措置を行う必要があります。
家畜伝染病予防法に違反すると、これまでは最大で3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられていました。さらに、2020年7月1日から罰則が強化され、海外から肉製品などの畜産物を違法に持ち込んだ場合、300万円以下(法人の場合、5000万円以下)の罰金または3年以下の懲役が科せられるようになりました。
家畜伝染病予防法に違反すると、これまでは最大で3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられていました。さらに、2020年7月1日から罰則が強化され、海外から肉製品などの畜産物を違法に持ち込んだ場合、300万円以下(法人の場合、5000万円以下)の罰金または3年以下の懲役が科せられるようになりました。
飼養衛生管理基準に従わなかったときの特別手当金の減額事例
ここからは、家畜伝染病が発生した際に手当金および特別手当金が支払われなかった具体例をいくつかご紹介します。
CASE1|農場内連絡体制の不徹底・虚偽の報告
伝染病の早期発見やまん延防止を目的として、農場の管理者は家畜の死亡や異状があった場合、家畜保健衛生所にすみやかに報告しなければなりません。しかし、豚熱(CSF)が発生した地域において、農場Aは農場内の連絡体制が不徹底だったことから報告をせず「虚偽の報告」を行ったため、特別手当金は給付されませんでした。
CASE2|他の畜産関係施設への立ち入り・野生動物への対策が不十分・死体の放置
家畜の所有者は、畜産に関係する他の施設に立ち入った場合、衛生管理区域に入らないようにしなければなりません。豚熱(CSF)が発生した地域において、農場Eの管理者は、自らいのししの飼養管理を行いながら、豚熱について調査するために野生いのししの捕獲調査を行っていました。また、家畜の所有者は飼料保管場所に野生動物が侵入しないよう防止策を講じる必要があります。農場Bの管理者は、周辺の農場から提供された野菜くずを餌用として、衛生管理区域の外の籠で保管しており、野生動物への対策が不十分でした。さらに、糞便の処理・清掃もされておらず、死体も放置されているなど、飼養衛生管理の状態が適切でなかったため、特別手当金が4割減額となりました。
CASE3|通報の遅れ
家畜に伝染病が疑われる特定症状が確認された場合、管理者はすぐに家畜保健衛生所に通報する必要があります。豚熱(CSF)が発生した地域において、農場Cは、死亡頭数が増えていたにも関わらず、家畜保健衛生所への通報が遅れたため、特別手当金が2割減額となりました。
CASE4|衛生管理区域の境界が曖昧・作業着交換の不徹底・飼料への加熱の不徹底
豚熱(CSF)が発生した地域において、農場Dは衛生管理区域の境界が曖昧で、外部の人が容易に出入りできる状態でした。また、管理者は管理区域の外に出るときに作業着を交換しないまま、自身が経営する2つの農場を行き来していました。さらに、加熱しなければいけない食品循環資源を原材料とする飼料を、加熱が十分でない状態で給餌していたため、特別手当金が1割減額となりました。
CASE5|消毒・作業着交換の不徹底・飼料の衛生管理の不十分
豚熱(CSF)が発生した地域において、農場Eは畜舎での手指消毒を行っておらず、2つの農場を作業着を交換せずに行き来していました。また、豚の飼養管理においては飼料に野生動物の糞尿が混入しないよう対策を講じる必要がありますが、飼料を一輪車に乗せた状態で放置していたため、たびたび野鳥が侵入してついばんでいました。さらに、飲用に適さない、未消毒の沢水を豚に与えていたなど、複合的な問題を鑑みて特別手当金が1割減額となりました。
CASE6|感染が疑われる家畜を出荷していた
高病原性鳥インフルエンザが発生した地域において、農場Fは、飼養鶏の死亡羽数が増えていたにも関わらず、それを確認した日と翌日に食鳥処理場へ飼養鶏を出荷していました。これは、周囲の農場にも感染を広げるリスクが高い重大な事態であると判断され、特別手当金は給付されませんでした。また、鶏舎の壁や防鳥ネットに破損があったことや、河川の水を未消毒の状態で鶏の飲用に使っていたことなど、管理水準が低い部分が確認されました。
CASE7|車両消毒および防鳥対策の不十分・未消毒の飲用水の使用
高病原性鳥インフルエンザが発生した地域において、農場Gは、車両用の消毒設備を備えておらず、同時に防鳥ネットなどの野鳥の鶏舎侵入防止対策がなされていない、未消毒の河川の水を鶏の飲用水として使っていたなど、いくつかの不備があったことから、特別手当金が4割減額となりました。
罰則の事例から学び、自農場の飼養衛生管理基準の徹底を目指す
罰則の過去事例、いかがだったでしょうか? 自農場で思い当たることがある場合、早急に改善する必要があります。上記事例の過ちを教訓に、自農場の飼養衛生管理基準の徹底に努めていきましょう。