自然免疫とは
外界と接している体の皮膚や粘膜は、病原体などの外敵が、簡単に体の中に侵入できない壁を作っています。
その壁を突破して体の中に入ってきた外敵に対して、初めに働くのが、生まれながらに備わっている自然免疫の仕組みです。
自然免疫の中心となるのは、血管内や体のあちこちに存在する好中球やマクロファージ、樹状細胞と呼ばれる白血球の仲間たちです。これらの細胞は、体の外から入ってきた異物を見つけて、それを細胞内に取り込んで(食べて)、分解して取り除く役割を持っています。
このため、これらの細胞は「食(しょく)細胞」とも呼ばれています。白血球の約半数を占める好中球は、体に侵入してきた細菌やカビなどの異物を食べて分解します。(図1)細菌などを食べた好中球はやがて死に、死体は痰や膿になって体外に放出されるか、マクロファージなどにより処理されます。
マクロファージや樹状細胞は、細菌やウイルスの表面構造や特徴的な遺伝子配列など、病原体に共通する特徴的な目印となる構造を見分けることが出来ます。そして目印により「非自己」と認識すると、それを食べて分解します。(図1)
マクロファージは食細胞の中でも特に大食漢で、病原体の他、死んだ細胞など比較的大きな異物を食べる掃除役を演じています。またマクロファージは病原体を見つけると、好中球を呼び集める物質を出します。このため、細菌などが入ってきた場所に好中球が集まり、効率的に排除することができます。
食細胞の他に、自然免疫を担当する主な細胞として、後述するリンパ球の仲間であるナチュラルキラー(NK)細胞があります。NK細胞はウイルス感染細胞やがん細胞などの異常細胞を見つけて、攻撃して排除します。(図1)正常細胞の表面に共通して存在する「正常だという目印」が減ったり、無くなったりしてできた異常細胞を、NK細胞は見つけて排除します。
この他に自然免疫では、同じく白血球の仲間で、寄生虫などの感染防御を担う好酸球や好塩基球、主に皮膚や粘膜に存在して、免疫細胞を呼び集める役割を持つマスト細胞など、様々な細胞たちがそれぞれ役割を演じます。
その壁を突破して体の中に入ってきた外敵に対して、初めに働くのが、生まれながらに備わっている自然免疫の仕組みです。
自然免疫の中心となるのは、血管内や体のあちこちに存在する好中球やマクロファージ、樹状細胞と呼ばれる白血球の仲間たちです。これらの細胞は、体の外から入ってきた異物を見つけて、それを細胞内に取り込んで(食べて)、分解して取り除く役割を持っています。
このため、これらの細胞は「食(しょく)細胞」とも呼ばれています。白血球の約半数を占める好中球は、体に侵入してきた細菌やカビなどの異物を食べて分解します。(図1)細菌などを食べた好中球はやがて死に、死体は痰や膿になって体外に放出されるか、マクロファージなどにより処理されます。
マクロファージや樹状細胞は、細菌やウイルスの表面構造や特徴的な遺伝子配列など、病原体に共通する特徴的な目印となる構造を見分けることが出来ます。そして目印により「非自己」と認識すると、それを食べて分解します。(図1)
マクロファージは食細胞の中でも特に大食漢で、病原体の他、死んだ細胞など比較的大きな異物を食べる掃除役を演じています。またマクロファージは病原体を見つけると、好中球を呼び集める物質を出します。このため、細菌などが入ってきた場所に好中球が集まり、効率的に排除することができます。
食細胞の他に、自然免疫を担当する主な細胞として、後述するリンパ球の仲間であるナチュラルキラー(NK)細胞があります。NK細胞はウイルス感染細胞やがん細胞などの異常細胞を見つけて、攻撃して排除します。(図1)正常細胞の表面に共通して存在する「正常だという目印」が減ったり、無くなったりしてできた異常細胞を、NK細胞は見つけて排除します。
この他に自然免疫では、同じく白血球の仲間で、寄生虫などの感染防御を担う好酸球や好塩基球、主に皮膚や粘膜に存在して、免疫細胞を呼び集める役割を持つマスト細胞など、様々な細胞たちがそれぞれ役割を演じます。
好中球やマクロファージ、樹状細胞は、病原体などの異物を食べて分解します。NK細胞はウイルス感染細胞などの異常細胞を見つけて攻撃します。
自然免疫は獲得免疫へ非自己の情報を伝える
自然免疫だけでは病原体などを排除出来ない場合がしばしばあります。そのときは獲得免疫へ援護射撃をお願いします。獲得免疫の中心となるのは、同じく白血球の仲間であるリンパ球という細胞です。
食細胞のうち、マクロファージや樹状細胞は自然免疫から獲得免疫へ非自己の情報を伝える役目を持ちます。特に病原体などの異物を食べて分解した樹状細胞は、リンパ球が集まるリンパ節という場所に移動して、異物を分解したかけらである「抗原」の情報を、ヘルパーT細胞というリンパ球に伝えます。(図2)これを抗原提示と言います。
T細胞は、特定の抗原を認識する構造を1種類ずつ持っていて、1種類の抗原を認識することが出来ます。樹状細胞により示された抗原に対応する構造を持つヘルパーT細胞は活発に活動し始め、細胞分裂により増えて、獲得免疫の司令塔として仲間の白血球たちに総攻撃を指示します。
食細胞のうち、マクロファージや樹状細胞は自然免疫から獲得免疫へ非自己の情報を伝える役目を持ちます。特に病原体などの異物を食べて分解した樹状細胞は、リンパ球が集まるリンパ節という場所に移動して、異物を分解したかけらである「抗原」の情報を、ヘルパーT細胞というリンパ球に伝えます。(図2)これを抗原提示と言います。
T細胞は、特定の抗原を認識する構造を1種類ずつ持っていて、1種類の抗原を認識することが出来ます。樹状細胞により示された抗原に対応する構造を持つヘルパーT細胞は活発に活動し始め、細胞分裂により増えて、獲得免疫の司令塔として仲間の白血球たちに総攻撃を指示します。
マクロファージや樹状細胞は、取り込んだ病原体などの異物を分解した断片である抗原をヘルパーT細胞に示します。抗原を認識したヘルパーT細胞は司令塔として獲得免疫を動かします。
自然免疫と獲得免疫
自然免疫は、特定の相手に対応するのではなく、目印を利用して、どの外敵に対しても無差別に攻撃をしかけます。このため体内に入った病原体が初めて出会った相手であっても、自然免疫はすぐに働き始めることが出来ます。
一方で、獲得免疫は、病原体などの細かい構造(抗原)を特定して、その情報をもとに、標的をしぼって働きます。獲得免疫が働き始めるためには、自然免疫より時間(日数)がかかりますが、より効果的に働きます。
自然免疫と獲得免疫は、異なる方法で非自己を識別して、病原体を食べて体外へ排除したり分解したりしますが、両者は、密接に連携した免疫システムを作り上げています。獲得免疫は、伝えられた抗原情報を基に対抗できる武器を用意して外敵を攻撃します。次回は、獲得免疫の実際の戦い方である、液性免疫と細胞性免疫についてお話しします。
一方で、獲得免疫は、病原体などの細かい構造(抗原)を特定して、その情報をもとに、標的をしぼって働きます。獲得免疫が働き始めるためには、自然免疫より時間(日数)がかかりますが、より効果的に働きます。
自然免疫と獲得免疫は、異なる方法で非自己を識別して、病原体を食べて体外へ排除したり分解したりしますが、両者は、密接に連携した免疫システムを作り上げています。獲得免疫は、伝えられた抗原情報を基に対抗できる武器を用意して外敵を攻撃します。次回は、獲得免疫の実際の戦い方である、液性免疫と細胞性免疫についてお話しします。