📖 前回までのおさらい【サルモネラ解説シリーズ】
養鶏場のサルモネラ対策の考え方
サルモネラの対策は、
① 農場への侵入、鶏舎内への侵入を防ぐ
② 鶏への定着・増殖を抑える
③ 群内と農場内での水平感染を防ぐ
の3つが重要なポイントです。
①では、サルモネラの侵入ルートをできるかぎり減らすための対策、②では、鶏舎内へサルモネラが侵入したとしても、鶏への感染をできるだけ防ぎ、感染しても定着・増殖を抑えるための対策、③では、サルモネラが農場に侵入してしまっても感染拡大をできるかぎり抑えられるよう、普段から行っておくべきことについてお話します。
対策① 農場への侵入、鶏舎内への侵入を防ぐ
前回お話したように、サルモネラが一度農場に入ってしまうと、完全に排除することは簡単ではありません。
農場や鶏舎内へのサルモネラ侵入ルートを(図1、2)に示しました。
農場や鶏舎内へのサルモネラ侵入ルートを(図1、2)に示しました。
対策② 鶏への定着・増殖を抑える
どれだけ侵入防止対策をしていても、サルモネラが農場内・鶏舎内に侵入することがあります。しかし、鶏がサルモネラを口から取り込んだとしても、腸管内で定着・増殖することなく排除することができれば、問題になることはありません。そのためにどのような対策をすべきか、こちらの項目でご説明いたします。
・鶏の免疫状態を良好に保つこと
まずは鶏の飼養環境を改善し、ストレスをできるかぎり減らしてあげましょう。基本的なところでは、過密な飼養を避けること、適切な温度管理(暑熱・寒冷対策)、清潔で十分な飲水の確保、十分な換気などが挙げられます。ストレスがかかった際に要求量の増大する、ビタミンやミネラル等を補充することも有効です。
また、免疫をかく乱するような感染症(伝染性ファブリキウス嚢病、鶏伝染性気管支炎など)が背景にあると、サルモネラをはじめさまざまな病原体に感染・発症を起こしやすくなります。これらの感染症が農場内で発生している場合は、それらの対策も並行して行うことが重要です。
まずは鶏の飼養環境を改善し、ストレスをできるかぎり減らしてあげましょう。基本的なところでは、過密な飼養を避けること、適切な温度管理(暑熱・寒冷対策)、清潔で十分な飲水の確保、十分な換気などが挙げられます。ストレスがかかった際に要求量の増大する、ビタミンやミネラル等を補充することも有効です。
また、免疫をかく乱するような感染症(伝染性ファブリキウス嚢病、鶏伝染性気管支炎など)が背景にあると、サルモネラをはじめさまざまな病原体に感染・発症を起こしやすくなります。これらの感染症が農場内で発生している場合は、それらの対策も並行して行うことが重要です。
・腸内環境を良好に保つこと
健康な腸内細菌叢は、サルモネラが定着・増殖することを抑えてくれます。善玉菌が減少し、悪玉菌が増殖しているような腸内環境は、サルモネラのような病原性細菌が増殖しやすい環境でもあります。また、鶏のストレスも、腸内環境が悪化する要因のひとつです。
有機酸の飲水添加や、枯草菌などのプロバイオティクスの給与は、腸内細菌叢を良好に保ち、健康な腸内環境の維持に非常に有効です。鶏に限らず、近年では腸内細菌叢が全身の免疫作用にも大きく関わっている1)ということは定説になりつつあります。
また、コクシジウムに感染していると、サルモネラが定着・増殖しやすい腸内環境になることが知られています2)3)。サルモネラの対策としても、コクシジウムの対策は重要であると言えます。
健康な腸内細菌叢は、サルモネラが定着・増殖することを抑えてくれます。善玉菌が減少し、悪玉菌が増殖しているような腸内環境は、サルモネラのような病原性細菌が増殖しやすい環境でもあります。また、鶏のストレスも、腸内環境が悪化する要因のひとつです。
有機酸の飲水添加や、枯草菌などのプロバイオティクスの給与は、腸内細菌叢を良好に保ち、健康な腸内環境の維持に非常に有効です。鶏に限らず、近年では腸内細菌叢が全身の免疫作用にも大きく関わっている1)ということは定説になりつつあります。
また、コクシジウムに感染していると、サルモネラが定着・増殖しやすい腸内環境になることが知られています2)3)。サルモネラの対策としても、コクシジウムの対策は重要であると言えます。
・CE法の活用
CE(競合排除;Competitive Exclusion)法とは、特に免疫や腸内細菌叢の未発達なひなに対して、早期に良好な腸内細菌叢の形成を促すことにより、その後に侵入した病原性細菌の定着・増殖を防ぐ方法です。健康な鶏の腸内細菌叢から分離されたプロバイオティクスである、CE剤(競合排除剤)を給与することは、サルモネラの定着・増殖抑制に有効であることが示されています4)。
CE剤は、幼若なひなだけではなく、強制換羽(換羽誘導)後や抗菌剤の投与後に、腸内細菌叢を保つ目的でも使用されることがあります。
CE(競合排除;Competitive Exclusion)法とは、特に免疫や腸内細菌叢の未発達なひなに対して、早期に良好な腸内細菌叢の形成を促すことにより、その後に侵入した病原性細菌の定着・増殖を防ぐ方法です。健康な鶏の腸内細菌叢から分離されたプロバイオティクスである、CE剤(競合排除剤)を給与することは、サルモネラの定着・増殖抑制に有効であることが示されています4)。
CE剤は、幼若なひなだけではなく、強制換羽(換羽誘導)後や抗菌剤の投与後に、腸内細菌叢を保つ目的でも使用されることがあります。
・サルモネラワクチンの活用
鶏用のサルモネラ不活化ワクチンは、感染および発症を完全に予防する性質のワクチンではありませんが、サルモネラの定着を軽減することにより、糞便中への菌排泄を低減します。
ワクチンには、サルモネラ・ティフィムリウム(O4群)、サルモネラ・インファンティス(O7群)、サルモネラ・エンテリティディス(O9群)の3価またはサルモネラ・エンテリティディス単味ワクチンが市販されています。
不活化ワクチンに含まれるサルモネラ抗原は、同じO抗原群間(たとえばO4ならO4の他の血清型)に対してもある程度の交差免疫を示すことが報告されています5)。
鶏用のサルモネラ不活化ワクチンは、感染および発症を完全に予防する性質のワクチンではありませんが、サルモネラの定着を軽減することにより、糞便中への菌排泄を低減します。
ワクチンには、サルモネラ・ティフィムリウム(O4群)、サルモネラ・インファンティス(O7群)、サルモネラ・エンテリティディス(O9群)の3価またはサルモネラ・エンテリティディス単味ワクチンが市販されています。
不活化ワクチンに含まれるサルモネラ抗原は、同じO抗原群間(たとえばO4ならO4の他の血清型)に対してもある程度の交差免疫を示すことが報告されています5)。
対策③ 群内と農場内の水平感染を防ぐ
農場のサルモネラ汚染が進んでしまった場合、清浄化のためにはかなりの労力と費用が必要になります。まずは侵入させないことが最重要ですが、万が一侵入してしまったとしても、早期に発見することで、農場内での水平感染が広がる前に対策を行うことができますので、水平感染が進んで農場が高度に汚染されてしまった場合と比べて、清浄化に要する労力が大きく異なります。そのために、常日頃から心がけておきたいことをご説明いたします。(図3)
・オールアウト後の洗浄・消毒の徹底
鶏のいる状態での消毒は困難ですので、オールアウト後の洗浄・消毒・乾燥を徹底して行い、十分な空舎期間を置いてください。特に、洗浄が不十分だと、残存した有機物によって消毒効果が低下するだけでなく、その有機物を栄養にサルモネラが生存・増殖する要因になります。ケージ飼養の採卵鶏農場での洗浄消毒はなかなか容易ではありませんが、ケージの隅や集糞ベルトなど、掃除しにくい部分もしっかり洗浄・消毒・乾燥を行いましょう。
普段から徹底的に実施することができていれば、サルモネラが入ったとしても被害を最小限にとどめることができます。
堆積式の平飼い鶏舎では、より対策が難しくなります。サルモネラが検出された場合には一度すべて撤去して洗浄・消毒・乾燥を実施することがベストではありますが、難しい場合は、堆肥を確実に完熟させ、発酵熱によってサルモネラを確実に殺滅することが必須になります。
・サルモネラの汚染状況の把握(定期モニタリング)
定期的な環境の検査(モニタリング)を実施することで、万が一侵入してしまったときの早期発見につながります。まずは農場内にサルモネラがいるのか、もし検出されたのであれば、どの場所が汚染されているのかを把握し、汚染されている場所を重点的に対策しましょう。
1つの方法として、農場のさまざまな場所を拭き取ったガーゼ(ドラッグスワブ)を検査することにより、鶏舎内のサルモネラ汚染状況を把握することができます。
ケージ飼いの鶏舎において、いつも同じ場所でサルモネラが検出されるのであれば、周辺の鶏が排菌している可能性があります。そのような鶏を摘発・淘汰することも検討する必要があります。
・個体からの排菌の抑制
前項でお示しした対策②を継続することは、保菌鶏からのサルモネラ排菌数を抑制することにつながります。保菌鶏からは常にサルモネラが排出されていて汚染源となっていますので、農場全体の汚染度を下げるために保菌鶏からの排菌数を減らすことが重要になります。
・鶏舎入口での手指消毒、鶏舎内に入るときに専用の作業着や長靴に替える
対策①でもお示ししましたが、侵入を防ぐというだけでなく、サルモネラに汚染された鶏舎からサルモネラを持ち出して、他の鶏舎に拡げないためにも重要なポイントになります。
これらの対策を普段から地道に続けていくこと、①②の対策も同時に続けていくことにより、農場への侵入・定着リスクを減らし、もし侵入してしまった場合でも早期に発見・清浄化につなげることができます。(図4)
鶏のいる状態での消毒は困難ですので、オールアウト後の洗浄・消毒・乾燥を徹底して行い、十分な空舎期間を置いてください。特に、洗浄が不十分だと、残存した有機物によって消毒効果が低下するだけでなく、その有機物を栄養にサルモネラが生存・増殖する要因になります。ケージ飼養の採卵鶏農場での洗浄消毒はなかなか容易ではありませんが、ケージの隅や集糞ベルトなど、掃除しにくい部分もしっかり洗浄・消毒・乾燥を行いましょう。
普段から徹底的に実施することができていれば、サルモネラが入ったとしても被害を最小限にとどめることができます。
堆積式の平飼い鶏舎では、より対策が難しくなります。サルモネラが検出された場合には一度すべて撤去して洗浄・消毒・乾燥を実施することがベストではありますが、難しい場合は、堆肥を確実に完熟させ、発酵熱によってサルモネラを確実に殺滅することが必須になります。
・サルモネラの汚染状況の把握(定期モニタリング)
定期的な環境の検査(モニタリング)を実施することで、万が一侵入してしまったときの早期発見につながります。まずは農場内にサルモネラがいるのか、もし検出されたのであれば、どの場所が汚染されているのかを把握し、汚染されている場所を重点的に対策しましょう。
1つの方法として、農場のさまざまな場所を拭き取ったガーゼ(ドラッグスワブ)を検査することにより、鶏舎内のサルモネラ汚染状況を把握することができます。
ケージ飼いの鶏舎において、いつも同じ場所でサルモネラが検出されるのであれば、周辺の鶏が排菌している可能性があります。そのような鶏を摘発・淘汰することも検討する必要があります。
・個体からの排菌の抑制
前項でお示しした対策②を継続することは、保菌鶏からのサルモネラ排菌数を抑制することにつながります。保菌鶏からは常にサルモネラが排出されていて汚染源となっていますので、農場全体の汚染度を下げるために保菌鶏からの排菌数を減らすことが重要になります。
・鶏舎入口での手指消毒、鶏舎内に入るときに専用の作業着や長靴に替える
対策①でもお示ししましたが、侵入を防ぐというだけでなく、サルモネラに汚染された鶏舎からサルモネラを持ち出して、他の鶏舎に拡げないためにも重要なポイントになります。
これらの対策を普段から地道に続けていくこと、①②の対策も同時に続けていくことにより、農場への侵入・定着リスクを減らし、もし侵入してしまった場合でも早期に発見・清浄化につなげることができます。(図4)
おわりに
これまで3回にわたって、サルモネラの基礎的な話から、養鶏におけるサルモネラの問題と具体的な対策についてお話してきました。養鶏といっても採卵鶏、ブロイラー、種鶏、育成農場、成鶏農場とさまざまな経営形態、鶏舎構造、飼養形態がありますが、どのような農場でもほとんど共通して実践していただける基本的な考え方です。
今回の記事を読んで、サルモネラ対策は高病原性鳥インフルエンザなど他の感染症対策とほとんど同じではないかと思われた方もおられるのではないでしょうか。まさに、外からの病原体の侵入を防ぐこと、鶏の免疫状態を良好に保つこと、農場をできるかぎりきれいにすること、という飼養衛生管理基準の基本的な考え方とまったく同じです。サルモネラ対策を徹底することは、他の疾病の対策にもつながります。残念ながら、どれだけ対策をしても、単独の対策で100%防ぐことは不可能です。しかし、複数の対策をいくつも組み合わせることによってかぎりなく100%に近づけるというのが、基本的な考え方になります。
共立製薬では、これらサルモネラ対策に有用な消毒薬、洗浄剤、生菌混合飼料、有機酸、CE剤、鶏用サルモネラ不活化ワクチン、免疫や腸内環境に影響するウイルスやコクシジウムのワクチン、ネズミ・ハエ・カラス対策用品など、幅広い製品ラインナップを揃えており、総合的なサルモネラ対策をご提案しています。畜産ナビと共立製薬が、今後の皆様のサルモネラ対策の一助となりましたら幸いです。
今回の記事を読んで、サルモネラ対策は高病原性鳥インフルエンザなど他の感染症対策とほとんど同じではないかと思われた方もおられるのではないでしょうか。まさに、外からの病原体の侵入を防ぐこと、鶏の免疫状態を良好に保つこと、農場をできるかぎりきれいにすること、という飼養衛生管理基準の基本的な考え方とまったく同じです。サルモネラ対策を徹底することは、他の疾病の対策にもつながります。残念ながら、どれだけ対策をしても、単独の対策で100%防ぐことは不可能です。しかし、複数の対策をいくつも組み合わせることによってかぎりなく100%に近づけるというのが、基本的な考え方になります。
共立製薬では、これらサルモネラ対策に有用な消毒薬、洗浄剤、生菌混合飼料、有機酸、CE剤、鶏用サルモネラ不活化ワクチン、免疫や腸内環境に影響するウイルスやコクシジウムのワクチン、ネズミ・ハエ・カラス対策用品など、幅広い製品ラインナップを揃えており、総合的なサルモネラ対策をご提案しています。畜産ナビと共立製薬が、今後の皆様のサルモネラ対策の一助となりましたら幸いです。
参考文献
1) 種村ら. 腸内細菌叢と免疫の関わり.Jpn. J. Clin. Immunol., 40 (6)(2017)
2) 荒川ら. Eimeria tenella Infection Enhances Salmonella typhimurium Infection in Chickens. Poultry Science., 60 (10)(1981)
3) 荒川ら. Influence of Coccidiosis on Salmonella Colonization in Broiler Chickens Under Floor-Pen Conditions. Poultry Science., 71 (1)(1992)
4) 中村. 鶏のサルモネラ症. 日本家禽学会.,40(2003)
5) 佐藤. 鶏のサルモネラ症の現状と対策(その2). 日本獣医師会雑誌., 57(2004)
1) 種村ら. 腸内細菌叢と免疫の関わり.Jpn. J. Clin. Immunol., 40 (6)(2017)
2) 荒川ら. Eimeria tenella Infection Enhances Salmonella typhimurium Infection in Chickens. Poultry Science., 60 (10)(1981)
3) 荒川ら. Influence of Coccidiosis on Salmonella Colonization in Broiler Chickens Under Floor-Pen Conditions. Poultry Science., 71 (1)(1992)
4) 中村. 鶏のサルモネラ症. 日本家禽学会.,40(2003)
5) 佐藤. 鶏のサルモネラ症の現状と対策(その2). 日本獣医師会雑誌., 57(2004)





