畜産農場の衛生状態を確保するためには?準備すべき設備・もの

畜産農場の衛生状態を確保するためには?準備すべき設備・もの

家畜の所有者は、飼養衛生管理基準にしたがって「家畜防疫に関する情報収集・知識習得」「衛生管理区域へ病原体を持ち込まない」「衛生管理区域内で病原体を広げない」「衛生管理区域外へ病原体を持ち出さない」という4つの視点で衛生管理を行う必要があります。

この記事では、「衛生管理区域内で病原体を広げない」つまり、衛生管理区域の衛生状態を確保するために農場が準備すべき設備を解説します。常に農場内の衛生状態を維持することで、農場から伝染病が発生するリスクを最小限に抑えることができます。

日々の防疫対策で使うもの

農場の衛生管理区域内の衛生状態を確保するために、従事者・関係者の日々の対策が大切です。
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手洗い・消毒

衛生管理区域を出入りする際、手はプッシュ式のアルコール消毒液、足(靴)は踏み込み消毒槽で消毒しましょう。踏み込み消毒槽はポリタンクの片側面を切り抜いたものでも代用できます。また、他の畜産関係施設で使用した物品は衛生管理区域内に持ち込まないことが原則ですが、どうしても持ち込む場合は消毒を徹底しましょう。

専用の長靴・ブーツカバー

衛生管理区域内の衛生対策がきちんとされていても、地面は野生動物や車両により病原体で汚染されているリスクがあります。そのため、畜舎に入るときは畜舎専用の長靴に履き替える必要があります。管理獣医師にも専用の長靴を準備すべきですし、出入りする関係者には、靴の上から履いて使い捨てできるブーツカバーを用意しましょう。

専用の手袋 (推奨)

手洗いや消毒ができない場合は、手袋で代用することが可能です。着替えには専用の更衣室を設け、衛生管理区域から出る人と入る人の動線が重ならないようにすることも大切です。

侵入した野生動物への対策

ねずみや野鳥などの野生動物は、病原体を運ぶリスクになります。ネットや柵、壁の修繕などにより侵入を防ぐことも大切ですが、侵入してしまった場合を想定した対策も重要です。
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殺鼠剤・粘着シート

侵入したネズミねずみの駆除・捕獲用に、殺鼠剤や粘着シートを使います。ねずみは壁づたいに移動するため、壁際に設置すると効果的です。殺鼠剤は家畜が誤食したり、飼料や飲用水に混入することのないよう注意しましょう。

給餌設備・飼料保管庫

給餌設備や飼料の保管場所では、ねずみや野鳥など、野生動物の排泄物が飼料に接触しないよう保管をし、作業終了後は給餌スペースに餌が残らないよう、また配餌車に飼料が残る場合はシート等で防止し、紙袋等の飼料保管場所は、ねずみ等の野生動物が侵入できないように隙間を無くしましょう。

給水設備・貯水施設

家畜用の給水器は、桶型と比較するとウォーターカップやニップル式給水器の方がゴミやホコリが入りにくく衛生的です。家畜の口が頻繁に接触するため、定期的に清掃しましょう。貯水施設には、蓋をつける等の異物が混入しない措置を講じる必要があります。

大臣指定地域における備え

農場は、大臣指定地域となった場合にも備えておく必要があります。大臣指定地域とは、農林水産省が家畜への感染リスクが高まっていると判断した場合に指定される地域のこと。 家畜伝染病の病原体が野生動物に感染したことが確認された際に指定される可能性があります。指定された場合、その地域ではより厳格な防疫対策が求められます。
(その対象疾病は、飼養衛生管理の取組強化により発生リスクが低減できる可能性が高いとされている「口蹄疫」、「豚熱(CSF)」、「アフリカ豚熱(ASF)」が対象となる。鳥インフルエンザは、野鳥が感染源として想定され、野鳥の飛来範囲は全国におよぶことから、対象疾病とされていません。)
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専用の衣服

大臣指定地域では畜舎に入る際、長靴を履き、専用の衣服に着替える必要があります。
また、着替えは専用の更衣室で行い、畜舎から出る人と入る人の動線が重ならないようにすることも大切です。

ケージ・リフト・畜舎間通路

大臣指定地域では家畜を畜舎から移動させる際、地面を歩かせるのではなく、消毒済みのケージやリフトを使います。もしくは畜舎間に屋根がある舗装された通路を設置することで病原体への感染リスクを抑えることができます。

衛生状態確保のために正しい準備を

衛生管理区域内の衛生状態を確保するためには、正しい準備が必要です。ひとつひとつ設備を整えていくことで、伝染病が発生するリスクを減らすことができます。簡単に準備できるものもありますので、農場をチェックしたうえで、足りないものを備えていきましょう。
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