家畜を伝染病から守るために遵守するべき飼養衛生管理基準の4つの分類

家畜を伝染病から守るために遵守するべき飼養衛生管理基準の4つの分類

家畜の所有者が伝染病の感染を防ぐために守るべき「飼養衛生管理基準」。2020年(令和2年)に基準が大幅に改正され、所有者は改めて農場の衛生管理状態を見直す必要があります。この記事では、改正後の飼養衛生管理基準で遵守するべき事柄を4つの分類に分けて解説します。

分類その①「家畜防疫に関する基本的理解と教育

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家畜の所有者は、家畜の伝染病の発生を予防し、まん延の防止に努める責任があります。過去にそうした脅威を身近に経験したことのない地域では、その恐ろしさをイメージしにくいかもしれません。しかし、ひとたび伝染病が発生してしまうと、経営に直接影響を受ける当事者となってしまうのです。家畜の所有者は家畜防疫の最前線を担っていることを自覚したうえで、飼養衛生管理基準が制定された背景を踏まえ、家畜防疫に関する基本的な考え方を理解しておくことが大切です。

飼養衛生管理基準の改正後は衛生管理区域ごとに「飼養衛生管理者」を選任することが義務付けられ、これまで以上に厳格な衛生管理が求められるようになりました。飼養衛生管理者は、衛生管理区域の出入りのチェックや、従事者の教育、国や都道府県から共有される家畜衛生に関する情報を踏まえた対応などを行う必要があります。
飼養衛生管理者としての役割を果たして農場の防疫体制を整え、関係者とも協力しながら衛生管理の意識を高めていきましょう。
同時に日頃から家畜防疫に関する情報を得ることも大切です。伝染病が発生した際、情報収集が遅れると適切な対処ができず、感染拡大を引き起こしてしまうことにもなりかねません。インターネットを活用して国や自治体が発信する情報を得られるようにしておきましょう。

分類その②「衛生管理区域への病原体の侵入防止」

 (621)

2つめの分類は「衛生管理区域への病原体の侵入を防ぐこと」です。必要のない人や物を衛生管理区域に入れないようにすることで、家畜と人や物が接触する機会を最小限にできます。飼養衛生管理基準が施行される以前は衛生管理区域という考え方がなく、誰でも特別な許可を受けずに農場を出入りすることもできました。現在では、衛生管理区域の境界線がわかるように柵や看板を設置して区別するとともに、必要のない者を衛生管理区域内に立ち入らせないことが義務付けられています。また、衛生管理区域に入る必要のある関係者に対しては、入場手順を看板で示し、入場記録をとることが義務付けられています。

野生動物の侵入による伝染病のまん延を防止するために、防鳥ネットや、養豚場においては防護柵を設置するなど、接触防止対策も忘れずに行いましょう。

分類その③「衛生管理区域内における病原体による汚染拡大防止」

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衛生管理区域内の衛生状態を常に保つことで、自分の農場から伝染病が発生し、まん延するリスクを減らすことができます。日頃から農場で働く従事者は、環境に馴れ、そうした意識が薄れがちです。改めて従事者の消毒や手洗い、専用の手袋や衣服、靴などの着用を徹底しましょう。

また、器具を定期的に清掃・消毒したり、衛生管理区域内の整頓や除草をしておくことも大切です。その他、野生動物の侵入防止用のネットなどに穴が開いていないか点検・修繕することや、給餌設備や給水設備に野生動物の排せつ物が混入していないか確認することも日課にするとよいでしょう。そして、家畜の健康状態も毎日確認し、異状にいち早く気付ける体制を整える必要があります。

分類その④「衛生管理区域からの病原体の拡散防止」

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最後に紹介するのは「衛生管理区域からの病原体の拡散防止」、つまり「病原体を自分の農場から外に持ち出さない」ようにすることです。4つの分類の中で一番意識から抜けがちな要素ですが、きちんと守ることが地域防疫につながります。

自分の農場を伝染病から守るだけではなく、他の農場や関連施設に広げないという意識が重要なのです。衛生管理区域の出口付近でも人や車両、物品などの消毒を徹底し、病原体の拡散防止に努めましょう。同時に、いつどんな人および車両に消毒をしたのか記録を残すこともお忘れなく。
家畜を出荷する際は移動前に出荷に適しているのかを確認したうえで、移動時も健康観察を行います。特定症状が確認された場合は出荷や移動を中止し、速やかに家畜保健衛生所に通報する必要があります。

4つの分類を踏まえて適切な衛生管理を

家畜の防疫対策において、今回紹介した4つはどれも欠かすことができないものです。詳細は畜種によっても異なるため、農林水産省のホームページで公開されている飼養衛生管理基準も合わせてご確認ください。
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