飼養衛生管理基準遵守のための仕組みづくりのポイント

昨年秋以降各地で相次ぐ鳥インフルエンザの発生を受け、野上浩太郎農林水産大臣は養鶏農家などが飼養衛生管理基準を遵守していなかった場合、事業者名を公表するよう都道府県に指示する方針を示しました。
畜産農場にとって飼養衛生管理基準遵守の仕組みづくりは喫緊の課題となっています。
この記事では、全国の畜産農場の遵守状況のご紹介と飼養衛生管理基準を遵守する仕組みづくりのポイントをご紹介します。

方針発表の背景

2020年(令和2年)11月に香川県の農場で発生して以降、西日本各地で猛威を振るっている高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の流行を受け、野上浩太郎農林水産大臣は2021年(令和3年)1月23日に開催された鳥インフルエンザ防疫対策本部にて、養鶏農場などが国の衛生管理基準を遵守しない場合、事業者名を公表するよう都道府県に指示する方針を示しました。
基準を遵守しない事業者名の公表は、2020年(令和2年)7月施行の改正家畜伝染病予防法に基づくもので、実際に適用されれば、初めてのケースとなります。
この措置は、2021年(令和3年)4月から運用される飼養衛生管理基準指導等指針によるものですが、今回適用されれば施行時期を前倒ししての実施となります。

方針発表の背景には、今季の鳥インフルエンザ発生件数、殺処分数が過去最大になっていることを踏まえ、感染拡大の防止に向け法律による措置を厳格に適用し、養鶏農家の衛生管理を徹底したいという狙いがあると考えられます。

飼養衛生管理基準の遵守を徹底し運用する仕組みづくりは、安全な農場運営のための最重要課題となっています。

全国の農場の飼養衛生管理基準遵守状況

農林水産省は2020年(令和2年)12月18日に全都道府県を対象とする飼養衛生管理基準遵守状況の一斉自主点検を実施しました。
令和3年1月19日鳥インフルエンザ関係閣僚会議資料より...

令和3年1月19日鳥インフルエンザ関係閣僚会議資料より抜粋(一部加筆)

この点検において約1割の不備を確認したことから、2021年(令和3年)1月15日までに2回目のフォローアップ点検が実施されました。
2回目の一斉自主点検では小規模農場にも積極的に働きかけを行ったことから報告農場数が増加しましたが、それに伴い遵守率が下がった項目もあり遵守率100%という結果には至りませんでした。
特に「衛生管理区域出入り手指消毒等」「衛生管理区域用衣類・長靴」  「ねずみ及び害虫の駆除」の3項目については、1回目の一斉自主点検よりもさらに遵守率が下がるという結果となっています。
農林水産省は今後、設備投資への支援活用を促進し、遵守率100%への改善を目指すとともに、必要に応じて家畜伝染病予防法に基づく、各都道府県知事による指導・助言・勧告・命令を徹底し、命令違反者の公表の規定の活用を指導・指示し、全農場の遵守状況が改善するまでフォローアップ点検を繰り返し実施するとしています。

高病原性鳥インフルエンザ発生農場における飼養衛生管理基準の遵守状況―疫学調査結果から―

2020年(令和2年)11月に高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が発生した農場における疫学調査チームの現地調査では、「飼養衛生管理基準の不備が農場にウイルスを侵入させる原因」との指摘がなされています。
今回HPAIが発生した多くの農場では、改正後に追加された「家きん舎に立ち入る者の手指消毒等」「家きん舎ごとの専用の靴の設置及び使用」の項目遵守に不備があるケースが多く報告されています。

疫学調査の報告に関する記事はこちら
高病原性鳥インフルエンザの脅威と過去の手当金・特別手当金の減額事例
https://chikusannavi.kyoritsuseiyaku.co.jp/disease/43

飼養衛生管理基準遵守のために

飼養衛生管理基準の遵守徹底は、全畜産農場共通の課題です。管理を徹底するためにはそれぞれの農場が各自の実情を把握し、運用可能な仕組みづくりをすることが大切です。
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農場の衛生管理の見える化

2020年(令和2年)7月1日の飼養衛生管理基準改正に伴い、農場は衛生管理区域ごとに飼養衛生管理者の選任が義務づけられるようになりました。

飼養衛生管理者に関する記事はこちら
飼養衛生管理者とは?選任が義務付けられた理由や管理者がやるべきこと
https://chikusannavi.kyoritsuseiyaku.co.jp/shiyoeisei/23

飼養衛生管理者は衛生管理区域に出入りする者の管理や、衛生管理区域の従事者への飼養衛生管理基準の周知・教育を通して自農場の衛生管理状況を把握することが求められます。
また、国や都道府県から発信される家畜衛生に関する情報を踏まえ適切な対応をとれるようにしましょう。

飼養衛生管理基準運用の見直し

飼養衛生管理者は定期的に自農場が飼養衛生管理基準を遵守できているかをチェックしましょう。
その際に農林水産省の定期報告書の様式に沿ってセルフチェックを行うことで基準遵守に必要な項目をもれなく確認することができます。
遵守できていない項目がある場合は対象の従事者・関係者を指導し、飼養衛生管理基準の理解を醸成するようにしましょう。

見直し後の改善

飼養衛生管理基準を遵守できていない項目を従事者や関係者に対して共有する際に、口頭指導や文書指導のみではなく、写真や図を用いたマニュアルを作成し、必要な取り組みを見える化することも大切です。
マニュアルが現場の業務に即していない場合は必要に応じて修正し、飼養衛生管理者を中心として実践するようにしましょう。

飼養衛生管理者向けカリキュラムのご案内

共立製薬では飼養衛生管理者向けのオンラインセミナーを企画しています。
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生産農場で機能する飼養衛生管理基準をテーマに、飼養衛生管理者の役割や飼養衛生管理基準の構成と項目の理解など畜種を対象としたセミナーと、マニュアルや各種記録の作成方法等、対象畜種ごとの基準に沿った実践編のセミナーをご用意し、知識の習得と現場での実践にお役立ていただける内容を予定しております。
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農場従事者・関係者一丸となって飼養衛生管理基準遵守の取り組みを

飼養衛生管理基準は飼養衛生管理者をはじめ全農場従事者が内容を正確に理解し、主体的に遵守に取り組むことで初めて成果を上げることができます。また、農場に出入りする取引先・関係者にも飼養衛生管理基準遵守への理解を呼びかけ、協力を求めることも必要不可欠です。
共立製薬では飼養衛生管理基準の遵守をサポートする取り組みを積極的に行っています。仕組みの構築および運用でお悩みの際はぜひ共立製薬までお問い合わせください。
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